https://www.youtube.com/watch?v=lcoNkMLf9SY
りん、りん、と涼やかな澄んだ音が耳朶に響く。
夏の強い日差しが照りつける街路を、美世はたくさんの風鈴の音の中で清霞とともに歩いていた。
「ふふ」
つい先ほど、家で使う風鈴を買いにこの市にきたところ、とびきり可愛らしく美しい硝子製のものを見つけて、ひと目惚れしてしまったのだ。
「気に入るものが見つかってよかったな」
「はい。……風鈴の音って、聞いているだけで涼しくて大好きです」
微笑ましそうにこちらを見る清霞に、少し恥じらう心を抱きながら、美世はおのずと頬を緩ませてうなずいた。
軽やかな音はとても清涼で、暑い夏にひとときの癒しをくれる。あの素朴で落ち着く縁側を、買った風鈴が見た目にも音にも彩ってくれるのが、楽しみでならない。
(あら)
ふと、道端の鮮やかな色に引かれ、足を止める。
立てかけられた葦簀に這わせた、色とりどりの朝顔が見事に咲いていた。青に赤、紫、白――薄紅。爽涼な色彩が、風鈴の奏でる音と合わさってまた、美しい。
(綺麗……)
しばらく見惚れて、はっとする。
優しげな眼差しで振り返りつつ先を行く清霞の背を、美世は早足で追いかけた。